IPTPC からの情報発信
IPTPCは、2003年よりVoIP認定技術者資格制度の運営を行っており、累計資格者数は2011年7月の時点で18,000名を超えています。
これまで統一的な水準の技術者を養成するための研修や資格制度、また、ビジネスコミュニケーション東京等の展示会やIPTPC主催のIPTPCセミナ等を通じて、IP電話普及推進のための活動を行ってまいりました。今後は、IPTPCのホームページより、ホワイトペーパーやWebコラムなどを定期的に掲載することにより、今まで以上に情報発信を行ってまいります。
スマートフォンを企業で活用するためのポイント
2011年2月1日
IP電話普及推進センタ(IPTPC)
OKI代表 千村 保文
スマートフォンやタブレット端末が、携帯端末市場で注目されている。これらの端末は、3G携帯の機能を持ちつつ、WiFiなどのIP端末としても活用できる。そこで、スマートフォンやタブレット端末を企業で情報端末あるいはコミュニケーションツールとして活用したいという期待も増えている。しかし、スマートフォンなどの端末は登場して間もないため、企業利用を図るためには注意しなければいけないポイントがいくつかある。スマートフォンやタブレット端末の企業利用のポイントについて、3回にわたって解説する。
第1回 スマートフォンを企業活用するための注意点
第2回 スマートフォンの企業向けアプリケーションとセキュリティ
第3回 スマートフォンでのVoIP利用のポイント
第1回 スマートフォンを企業活用するための注意点
スマートフォンやタブレット端末を企業で利用する場合、その目的を明確にし、用途を限定する必要がある。
スマートフォンやタブレット端末は、ノートPC、あるいはネットPCと比べても廉価であり、「汎用PCの代わり」として期待している企業もある。しかし、スマートフォンやタブレット端末は、ネットワークを活用した情報端末として登場したものであり、そのCPUの性能や機能の上で制限も多い。また、プラットフォームであるOSも進化途中であり、アプリケーションソフトやセキュリティ確保のツールもPCと比べると十分揃っているとは言いがたい。一方、スマートフォンやタブレット端末は、各種大型ディスプレイを持ち、音声などのコミュニケーション機能とネットワークアクセスの機能を有している。電源投入から立ち上がるまでの時間もPCに比べると短い。そこで、目的を明確にした上で、用途を絞れば、企業内でも利用価値は高いだろう。
現在のスマートフォンやタブレット端末の特性に合った目的としては、以下の2つが挙げられる。
(1)モバイルPCの代わり
営業など外出の多い職務の方は、携帯電話やモバイルPCなどの端末を数台持って(あるいは持たされて)いる人が多い。そこで、廉価なモバイル端末として、電話の機能を持ちつつ、大型ディスプレイのあるスマートフォンはモバイルPCの代わりにもなるだろう。しかし、多くのスマートフォンやタブレット端末を企業外で使う場合、キャリアとの3G契約ないしはWiFiの使える場所(公衆無線LANエリアか、ホテルや自宅など)でないと使えない。キャリアと3G契約をする場合は、端末ごとに契約が必要であり、その契約費用も加味しておく必要がある。キャリア契約の費用を抑制したいために、WiFiのみで使う場合は、無線LANの使える場所を確認しておく必要がある。
また、モバイルPCの代わりと言っても、CPUの性能は現在のモバイルPCに比べて、一世代前のレベルの処理性能の機種が多い。(※1)従い、映像や高度なアプリケーションを利用する場合は、十分なパフォーマンスは期待できないケースもある。また、電池の持ちも日々改善はされているが、デスクトップ上にいくつもアプリケーションを開いておくと、見る見る間に電池容量が減っていくので、注意が必要である。
(※1)本稿を執筆時点では消費電力を抑えるためにパフォーマンスを犠牲にしている機種もある。ただし、CPUの性能は日々進化しており、消費電力と性能は個別に評価が必要である。

(2)廉価な専用端末
受付専用端末やデジタルサイネージ用の掲示専用端末、注文専用端末など特定用途の専用端末としての用途で使う場合である。このような用途には、特にタブレット端末は有益である。このような用途では、企業内の無線LAN環境が使えるため、WiFi契約での購入が可能である。しかし、セキュリティのための機能は標準搭載されていないケースもあるため、セキュアな無線LANシステムを構築、あるいはセキュリティソフトを個別に実装する必要がある。
また、(1)、(2)に共通する課題としては、スマートフォンやタブレット端末は毎年リニューアルされる傾向にある、即ち、「短命」(※2)であるという宿命がある。従い、障害等の際に以前と同じ環境の機種を購入しようとしても、既に新機種になっており、設定や使い勝手が変わってしまう懸念がある。
スマートフォンやタブレット端末は、廉価で大変便利なツールである。これを上手に使わない手はない。しかし、その特性をよく理解し、目的に合った用途で使うことが賢い利用法といえるだろう。
次回は、スマートフォンなどの企業向けアプリケーションとセキュリティ確保のためのポイントについて、解説する
(※2)「短命」とは、執筆時点での機種に関する筆者の感想である。全てのスマートフォンが短命と言う訳ではない。
本コラムには、筆者の個人的な意見が含まれています。
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