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IPTPCは、2003年よりVoIP認定技術者資格制度の運営を行っており、累計資格者数は2012年3月の時点で19,000名を超えています。
これまで統一的な水準の技術者を養成するための研修や資格制度、また、ビジネスコミュニケーション東京等の展示会やIPTPC主催のIPTPCセミナ等を通じて、IP電話普及推進のための活動を行ってまいりました。今後は、IPTPCのホームページより、ホワイトペーパーやWebコラムなどを定期的に掲載することにより、今まで以上に情報発信を行ってまいります。 スマートフォンの導入と利活用に不可欠な技術を学ぼう!2012年10月1日 私は、スマートフォンを導入するとライフスタイルが変わることを実感している。朝夕の通勤時間にスマートフォンのPCブラウザやソーシャルメディアを利活用すれば、帰宅後、TVニュース番組を長々と見たり、PCを立ち上げて情報収集や友達とコミュニケーションする必要がなくなり、家族と団欒したり、読書をしたり、実に効率的かつ快適なライフスタイルに変わった。これは、ワークスタイル革新の可能性を示唆しているが、企業にスマートフォンを導入し利活用する場合には、従業員がストレスなく仕事ができる環境が必要となる。ストレスには、通信速度の遅さ、内線と外線など複数の番号を意識しなければならない不便さ、音声・映像品質の悪さ、セキュリティの脅威などがある。これらを解消するためには、無線LAN(Wi-Fi)、VoIPシステム、セキュリティなどの技術が不可欠である。 そこで、4月に開始した無線LANデザイナ研修から一部引用して、5回(※1)にわたって解説する。 第1回 モバイルセントレックスは携帯電話からスマートフォンへ (※1)本コラムの第1回と第2回では計4回の連載を予定していたが、その後、内線化やBYOD(Bring Your Own Device)などスマートフォンによるワークスタイル革新の話題で市場が急速に盛り上がってきたため、当該内容を第4回として追加し計5回の連載とした。[2012年10月1日 編集] 第4回 スマートフォンのビジネス利活用に不可欠な無線LANとVoIP第1回では、理想的なUCモバイル端末がスマートフォンであると述べた。第2回では、スマートフォンを快適に利活用するためにWi-Fiによるオフロードが有効であると述べた。第3回では、スマートフォンによるワークスタイル革新の大きな効果について述べた。今回は、スマートフォンのビジネス利活用に無線LAN(Wi-Fi)技術とVoIP技術が欠かせない理由、ならびに導入時に技術者がマスターすべきポイントについて解説する。 (1)ビジネス利活用の成否はスマートフォンの能力を活かせるかどうかワークスタイル革新による更なるコスト削減や生産性向上など、企業課題の新たな特効薬として「スマートフォンやタブレットによるUCソリューション」が注目されている。同ソリューションを導入するためには、スマートフォンやタブレット(以降、「スマートフォン」はタブレットを含む)をビジネスに利活用するシステムが必要だ。前回は、その構成要素として、アプリ・マーケットプレイス、オンプレミス/プライベートクラウド、ネットワークが必要であることを述べた。 では、どのようなシステムが望ましいかと言えば、当然、スマートフォンの能力を最大限に引き出すようなシステムが望ましいのは言うまでもない。スマートフォンを導入しても、その能力が十分に発揮されなければ、投資が活かしきれてないことになる。つまり、スマートフォン導入の成否はスマートフォンが有する高い能力を活かせるシステムを構築・維持できるか否かにかかっている、といっても過言ではない。 ●企業で利活用したいスマートフォンの4つの能力第1回でも述べたが、携帯電話とスマートフォンでは能力に大きな差がある。コンシューマ利用では、指によるタップやピンチといったユーザインターフェイスが主たる能力であるように思われがちであるが、企業でスマートフォンを利活用する場合、次の4つの能力が大きな武器となりうる。
●スマートフォンの能力を発揮できない4つのストレス冒頭でも述べたが、スマートフォンの能力をフルに発揮させるということは、従業員がストレスなくスマートフォンを利用し、仕事に最大限活用することに他ならない。もちろん、ストレスにはリテラシーや運用などの人的要因もあるが、技術的要因によるストレスとしては、次の4つが挙げられる。
ここで、上記の能力とそれを阻害するストレス①〜③について簡単に説明する(④は次回説明)。 能力とストレス①:PCのマザーボードに配置されているCPUやメモリ、グラフィックス、音声処理、通信などの部品を一つのチップに集積するSoC(System on a Chip)を採用しているスマートフォンは、小さな筐体と少ない消費電力にもかかわらずPC並みの高い情報処理能力を有する。一方、PCが情報処理端末であるのに対して、スマートフォンは情報処理とモバイル通信の両機能を有する端末であるため、モバイル網の通信速度が遅い場合、せっかくの情報処理能力を十分に発揮できず、サーバとの通信にストレスを感じるケースが少なくない。 能力とストレス②:スマートフォンは3G、LTE、WiMAXなどのモバイル網、ならびにオフィス無線LAN、公衆無線LAN、Bluetoothなどのローカル網とシームレスに接続するモビリティ能力を有する。一方、携帯電話番号はモバイル網接続、固定電話番号は無線LANやBluetoothによる固定網接続、内線番号はオフィス無線LANによる内線電話網接続でそれぞれ使用できる。そのため、相手が今どの網に接続しているかを想定し試行しながら、たとえば料金の安い番号を使い分けなければならない。携帯メール、PCメール(Eメール)などのアドレスについても、同じような不便さがある。 能力とストレス③:スマートフォンは、電話やメールはもとより、高画質ディスプレイによる資料共有を含むビデオ会議、動画を含むSNSなどの音声・映像・文字が統合されたユニファイドコミュニケーション(UC)能力を有する。一方、電話やビデオ会議などのリアルタイムコミュニケーションでは、バーストデータによる帯域不足や劣悪な電波環境などに起因する音声・映像品質の悪さが、相手との会話に支障をきたす場合がある。特に、映像品質の悪さに比べて、音声品質の悪さは、会話の継続性に大きな影響を与えることが知られている。 (2)スマートフォンの能力を最大限に引き出す無線LANとVoIP
上記ストレスを解消しスマートフォンの能力を最大限に引き出すのが、図1の「無線LAN技術」(Wi-Fi認定機器同士の無線アクセス、有線LANの無線制御等)、「VoIP技術」(SIP関連、RTP関連、音声・映像・文字メディア、QoS等)」、「セキュリティ技術」(MDM等)である(※3)。 (※3) SIP:Session Initiation Protocol、RTP:Real-time Transport Protocol、QoS:Quality of Service、MDM:Mobile Device Management 以下、通信速度の遅さ、電話番号を使い分ける不便さ、および音声・映像品質の悪さを解消するために、無線LAN技術とVoIP技術を駆使したシステムの構築が必要であることを説明する(セキュリティは次回説明)。 ①IP通信を高速化し、高い情報処理能力を支える無線LAN 第2回でも述べたが、スマートフォンの急速な普及による3Gトラフィック逼迫の解決策として、オフィス無線LANや公衆無線LANなどのWi-Fiへのオフロードが非常に効果的である。その技術的理由の一つとして、3G規格は非IPの回線交換やパケット交換のあまり高速ではない伝送技術であるのに対して、無線LAN(Wi-Fi)のIEEE802.11規格はIPに特化した高速伝送技術だからである(※4)。 さらに、最新のIEEE802.11n規格では、複数のMACフレームをまとめ、複数かつ広帯域の無線回線を利用して伝送するので、最大600Mbpsまで高速化することができる。そのため、PC並みの高い情報処理能力を有するスマートフォンゆえに発生する膨大なトラフィック、その大半を占めるIPトラフィックを高速伝送する上で、無線LANは欠かせない技術である。 (※4) IEEE802.11規格では、スマートフォンのIPパケットがそのままMACフレームに入れられ、空いている無線回線(周波数)を使用してアクセスポイントへ送られ、そのまま有線LANへ伝送される。そのため、高速IP伝送のためのムダのないシンプルな構成になっている。 ②どこでも内線化し、シームレスなモビリティを支える無線LANとVoIP 第3回で述べたとおり、社内のオフィス無線LANに加え、社外のセキュアな公衆無線LANなどから、スマートフォンを社内の内線IP電話網やイントラネットへ接続することによって、どこでも内線番号による内線通話やPCメール、資料、データの確認ができる。このシームレスなモビリティ能力は無線LANのIEEE802.11関連技術やVoIPのSIP関連技術が支えており、モバイル網(3G等)から無線LAN(Wi-Fi)のサービスエリアへ移動したスマートフォンをアクセスポイントに接続し、社内認証サーバによるユーザ認証と暗号化処理を経て社内SIP関連サーバにセキュアに接続する。 ③音声・映像品質を確保し、コミュニケーションを支える無線LANとVoIP IPトラフィックにはデータトラフィック(HTTP、FTP、SMTP等のデータパケットの流れ)、およびIP電話やビデオ会議などの音声・映像コミュニケーションの制御とメディア伝送をおこなうVoIPトラフィック(SIP、RTP等のVoIPパケットの流れ)の二種類があり、前者には正確性が要求され、後者にはリアルタイム性が要求される。 ◆VoIPのリアルタイム伝送ができるのは現時点では無線LANのみ無線LAN(Wi-Fi)とモバイルアクセス網の3G、LTE、WiMAXの内、低遅延や低ジッタなどが要求されるVoIPトラフィックの音声・映像品質を確保できるのは、今のところ有線LANや光ファイバなどのブロードバンド回線への高速無線アクセスが可能な無線LAN(Wi-Fi)だけである(※5)。 最近のスマートフォンは、Wi-FiとVoIPのSIP、RTPが標準搭載されており、無線LANに流れるVoIPパケットをデータパケットより優先して伝送するQoS機能のWMM(Wi-Fi Multi-Media)が実装されているものも登場している。 (※5)LTEとWiMAXもWi-Fiと同様にIPに特化した高速伝送技術であるが、両者はデータトラフィックのみを対象としている。なお、音声・映像リアルタイム伝送をめざしている次期規格のLTE-Advanced(VoLTE:Voice over LTE技術)は来年あたりから順次サービス開始される見通しである。
◆音声・映像品質を高める無線LANとVoIP例えば、スマートフォンをモバイルアクセス網(3G)経由で固定網のSIPサーバと接続してIP電話をかけた場合、3G回線は低速でありかつQoS機能がないため、遅延や遅延のばらつきであるジッタによる音声・映像品質の劣化が生じる。一方、オフィスLAN(Wi-Fi)や公衆無線LAN(Wi-Fi)経由でIP電話をかけた場合、3Gより高速に伝送できるためVoIPパケットの遅延が小さくなり、ジッタも小さくなるので、比較的音声・映像品質は良くなる(図2)。 特に、無線LANとVoIP設計がうまくできているオフィスの場合には、遅延やジッタによる音声・映像の乱れや途切れが極めて少なく、スマートフォンの勝れたコミュニケーション能力を安定して最大限に引き出すことができる。 (3)スマートフォンの導入時、技術者がマスターすべきポイント最後に、スマートフォンを導入し、かつストレスなくビジネスに利活用できるシステムを構築するには、上述した無線LAN、VoIP、セキュリティのコア技術をベースに、スマートフォン特有の技術も含めてマスターすべきである。 具体的には、スマートフォン導入によるVoIPとデータトラフィックの増加およびストレスのないスループットを考慮した無線LAN置局設計(※6)、無線LANセキュリティ設計、ならびにQoS設計をはじめ高速ハンドオーバ設計や有線LAN/WANの帯域設計などの無線IP電話システム設計技術が不可欠である。 (※6)オフィスを取り巻く電波環境の悪化に起因する電波干渉や、オフィスでのスマートフォンの移動、データ量の多いアプリのインストールなどによる通信速度の低下もあるので、置局設計の良し悪しによってスマートフォンのスループットが左右される。 ●スマートフォン導入技術を効率よく学べるIPTPC認定技術者資格制度お忙しい皆様にお奨めしたいのは、無線LAN置局設計、無線IP電話システム設計、無線LANセキュリティ設計の各技術を僅か1日で効率的に学習できるIPTPC認定技術者資格制度の「無線LANデザイナ研修」(下記)です。 無線LANデザイナ研修 (旧 VoIPモバイル研修)
オフィスにスマートフォンやモバイルPC(ノートPC、タブレット)を導入する場合に不可欠な、高速モバイル技術(LTE/WiMAX/Wi-Fi)やFMCなどの最新動向、無線LAN(Wi-Fi)の基礎と無線LAN規格IEEE802.11b/g/a/nによる置局設計、および無線LANの端末認証と暗号化規格IEEE802.11iなどによるセキュリティ対策、ならびに音声・データ統合無線LANのハンドオーバやQoS規格IEEE802.11eなどの無線IP電話システム設計、導入・運用を学びたい方向け。
(注1)特に、次に示すようなSE・技術者の方々に最適な研修です。 1.スマートフォンやモバイルPCを導入するために本社や拠点に無線LANを導入、構築される方 2.スマートフォンのLTE、WiMAX、3G/Wi-Fiを利用したFMC、モバイルオフィスなどを導入される方 3.スマートフォンやモバイルPCをオフィスLAN、公衆無線LAN、テザリングで利活用される方 研修内容:http://certification.iptpc.com/edu/wirelessLanD_1205.htm ● スマートフォン特有のVoIPシステム要件UCデバイスであるスマートフォンの導入には、IP電話やビデオ会議などスマートフォン特有のリアルタイムコミュニケーションに必要なVoIPシステム要件がある。以下に基本的な要件を挙げる。
(※7)①②: 呼接続品質としての低制御遅延、および前述した音声・映像品質としての低伝送遅延が要求される。スマートフォンに標準SIPとRTPが実装されVoIP対応になっている必要があり、iPhoneは以前から、AndroidはAndroid 2.3からIP電話のクライアント機能としてSIPスタックを標準装備している。 (※8)③④:スマートフォンがマルチタスクに対応していなければならない。Androidは以前から、iPhoneはiOS4からマルチタスク対応となり、バックグラウンドにVoIPアプリを常駐させ、他アプリ利用中の着信や通話中に他アプリ利用が可能である。もちろん、バックグラウンドで動くVoIPアプリは消費電力が少ないほうが望ましい。 iPhoneとAndroidの両者ともAPIが公開されているので、社内システム向けのアプリをアプリ・マーケットプレイスからインストールするだけで、誰もがスマートフォンを社内クライアントとして使用できると困る。また、個人所有のスマートフォンを利活用するBYOD(Bring Your Own Device)ソリューションも選択肢の一つに加わってきた。このようにスマートフォンによる新たなセキュリティリスクの低減は企業の大きな課題である。次回(最終回)は、企業でのスマートフォン運用形態とセキュリティ対策について説明する。 本コラムには、筆者の個人的な意見が含まれています。 ![]() |
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