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Webコラム



IPTPC千村保文氏の2012年度TTC会長表彰受賞を祝う

2012年7月17日
IPTPC NEC代表 服部 高明

去る6月21日、IP電話普及推進センタ(IPTPC)のOKI代表 千村 保文(ちむら やすぶみ)氏が、2012年度の一般社団法人情報通信技術委員会(TTC)「情報通信技術賞 TTC会長表彰」を受賞されました。受賞理由は「IP電話及びインターオペラビリティ関連の国内外の標準化活動にかかわる功績」であり、IP電話のプロトコルおよび音声品質評価法の国内標準化推進(TTC 標準JJ-201.01制定)、ならびにIP電話に関するインターオペラビリティ試験で得た知見による国際標準化推進(ITU-T勧告 Q.3909他)などの多年にわたるIP電話技術の標準化活動が高く評価されたものです。

奇しくも、今年はIPTPC設立10周年目にあたり、御蔭さまで、IPTPC認定技術者は2万名を突破する見込みです。本コラムでは、この記念すべき年に、大変名誉あるTTC会長表彰を受賞された同氏の功績をご紹介し、今回の受賞を祝したいと思います。

TTC:
電気通信全般に関する標準化と標準の普及を行う標準化機関として、1985年10月に「社団法人電信電話技術委員会(TTC:The Telecommunication Technology Committee)」設立、2002年6月に事業内容を「情報通信ネットワークに係る標準化」等とするとともに、名称も「社団法人情報通信技術委員会」に変更、2011年4月に「一般社団法人情報通信技術委員会」へ移行。

我が国のIP電話普及における千村保文氏の大きな功績

千村保文氏は1990年代半ばからVoIP技術を用いた電話システム「IP電話」の開発に着手されました。同時に、市場拡大に資するため、ITU-Tをはじめ国内外の標準化活動に参加されました。例えば、IP-FAX仕様(T.38)の提案にご尽力されました。

2000年以降、インターネットの普及により我が国でもIP電話サービスが具体化しはじめましたが、当時は①「音質」、②「相互接続性」、③「技術者不足」、等の課題が山積していました。これらの課題を業界横断的に解決すべくリーダーシップを発揮されたのが、同氏です。

①の「音質」課題を解決するため、同氏は、総務省のIPネットワーク設備委員会にて品質基準作成作業に参加するとともに、TTCにて音声品質の評価手法を標準化しました。また、②の「相互接続性」課題を解決するために、HATS推進会議やIMTC(International Multimedia Telecommunications Consortium)などの国内外のインターオペラビリティ試験に参加し、その結果はITU-T勧告に反映されました。さらに、2011年には日本提案をベースにNGNの相互接続試験仕様の勧告化にも尽力されました。

そして、IP電話黎明期の2002年に、同氏は「IPと音声の双方が分かる技術者の不足」が我が国のIP電話普及の大きな阻害要因になると予見し、この③「技術者不足」を解決するために、IP電話普及推進センタ(IPTPC)設立に動かれました。その後、日本電気株式会社、株式会社日立製作所、岩崎通信機株式会社、富士通株式会社、パナソニックシステムネットワークス株式会社がIPTPC運営に参加し、10年にわたる同氏の並々ならぬご指導のもと、「IPTPC認定技術者資格制度」は約2万名の認定技術者を輩出するベンダーニュートラルな民間資格制度に大きく成長いたしました。

その他、同氏は、国内外で数多くの活動をされており、IP電話はもちろんのことユニファイドコミュニケーションを支えるマルチメディア通信においても、縦横無尽のご活躍をされております。


今回の受賞はIPTPC認定技術者にとっても大きな励み

千村氏は、このたびのTTC会長表彰受賞にあたり、「今回の受賞は、私一人の賞というよりも、我が国でのIP電話の普及に向けて活動してきた業界の皆さん全員の努力が評価されたものと考えています」と述べています。もちろん、その中には業界で統一的な水準の技術知識を持ち、業界をリードする「IPTPC認定技術者」の一人ひとりが含まれていることは間違いありません。

また、同氏は「我が国の情報通信市場は、多くの企業が切磋琢磨し、競争するとともに協調して高い品質の製品を世に送り出してきました。特にIP電話の課題解決については、世界の中でも先進的な取り組みを進めており、これらの取り組み成果を世界へ発信し、市場の拡大に貢献できればと思っています」と、新たな抱負を述べられております。

まさにその通りでしょう。今後、国内外の市場は、スマートフォンやタブレットおよびその関連サービスの急速な普及に牽引され、IP電話からユニファイドコミュニケーションへと急速に進展する可能性が高い状況です。したがって、VoIPからUCまでの業界で統一的な水準の技術者を認定するIPTPC認定技術者資格制度の価値は、今まで以上に高まっていくと期待されています。

最後に、僭越ながらIPTPC認定技術者を代表し、千村保文氏にTTC会長表彰受賞のお祝いを申し上げるとともに、今回のその受賞は、IPTPC認定技術者の方々にとっても大きな励みになるということを期待してやみません。



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