IPTPC からの情報発信
IPTPCは、2003年よりVoIP認定技術者資格制度の運営を行っており、累計資格者数は2011年7月の時点で18,000名を超えています。
これまで統一的な水準の技術者を養成するための研修や資格制度、また、ビジネスコミュニケーション東京等の展示会やIPTPC主催のIPTPCセミナ等を通じて、IP電話普及推進のための活動を行ってまいりました。今後は、IPTPCのホームページより、ホワイトペーパーやWebコラムなどを定期的に掲載することにより、今まで以上に情報発信を行ってまいります。
ビジュアルで変わるコミュニケーション
2010年9月17日
IPTPC(岩崎通信機) 伊縫 雅典
最近のTV会議/WEB会議の展望
この数年来、IPネットワークの革新により、高速/広帯域かつ低価格な通信環境、あるいは、通信プロトコルの開発や圧縮技術等のTV会議/WEB会議を実行する際の課題の多くが解決され、比較的容易に音声と映像を組み合わせたビジュアルコミュニケーションが可能になってきた。そのような中で今一度TV会議/WEB会議の特長を整理すると次の5つに集約される。
- 実会議に迫る臨場感の実現
- 実会議の開催を必要最小限に留めることによる人の移動コスト削減
- 電子ドキュメントと通話のシームレスな共存
- バーチャル会議室運営という新しいビジネスモデルの創出
- 遠隔教育、セミナーあるいはオンラインイベントなどの新しいサービスの創出
今後、この特長を生かした革新的なサービスが数多く生み出されていくことだろう。
TV会議/WEB会議以外のビジュアルコミュニケーションの提案
さて、ここで、ビジュアルコミュニケーションというものを今一度見直してみたいと思う。ビジュアル(Visual)とは、「視覚の」とか「目に見える」という意味である。コミュニケーション(Communication)とは、「通信」とか「連絡」「情報伝達」という意味である。この二つを合わせたビジュアルコミュニケーションとは、「目に見えること(もの)を活用した情報伝達」と解釈することが出来る。つまり、情報の見える化であり、見たい、あるいは、見てもらいたい、という人間の欲求を満たすコミュニケーション手段として捉えることができる。
そう考えると、いわゆるビジュアルコミュニケーション・プラットホームという様々な業種の様々な情報を見える化して人に伝達する舞台の上に、次から次へと新たな製品やサービスが生まれてくるのではないだろうか。以下にそれらのいくつかを事例として紹介したい。
(1)ビジュアルオーダーリングシステム
デジタルサイネージ画面を見て気になった映像画面をタッチするとオーダリングセンターに繋がって商品の説明や注文を受け付けることが出来る。いわゆるデジタルサイネージのような放送形式ではなく、双方向性を確保することで、お客様への安心の提供、あるいは、企業サイドにおいては直接的な購買行為に結びつく機会を得ることになるため新しい商業手段として有効な活用が期待できる。

(2)健康支援・生活支援
毎日の健康チェックを自治体や介護・医療施設などが作成したコンテンツによって行うものである。WEBコンテンツにすることで、高齢の方でも簡単に操作できるようにコンテンツ画面は平易な表現かつ大きな文字にするなど多様なニーズに応えることが出来る。また、チェック項目の中に電話相談、診療・処方箋予約などワンタッチで選択できるようにすることも可能であり、安心かつ便利な支援ツールとして利用できる。映像や画像だけではなく、TV電話としての機能を備えているため、困ったときには相手と通話によるコミュニケーションを行うことが出来ることも重要である。この仕組みは、健康支援・生活支援の他にも、地域コミュニティの回覧板や学校との連絡など様々な活用が考えられる。

(3)見守り・遠隔制御
センサとネットワークの連携による宅内セキュリティ/見守りシステム。見守りたい人(高齢の親、留守番している子供やペットなど)を監視カメラではなく状況を表現した絵や写真などで確認する仕組みにより実現する。このシステムのように、堅苦しいマイナスのイメージである「監視」という意識を和らげることができれば、見守る側も見守られる側も共に、見てもらううれしさや見る楽しさを実感できるはずだ。仕組みはシンプルで、見守られる側には各種のセンサを配置し、リアルタイムでネットワークサーバーにその変化情報を通知する。見守る側は、リアルタイム、あるいは、見たいときにサーバーと通信して見守られる側の状態を知ることが出来る。つまり、センサ情報を利用した生活の見える化システムである。また、事故や災害発生時など万が一のときは、即座にTV電話を使って連絡できるため、遠く離れていても安心して利用することが出来る。

このようにビジュアルコミュニケーションは、単なる会議目的の人と人のコミュニケーションだけではなく、それぞれの現場に即した、人と人、あるいは、人と物が関わる様々な場面(医療・介護・福祉・教育・監視・販売等)において画像やコンテンツをフル活用した付加価値の高い双方向のリアルタイムコミュニケーションという新しいジャンルの情報伝達手段を提供して行くこともできる。今後、このような新たなビジュアルコミュニケーションの製品やサービスが生まれていくことを期待したい。
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