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Webコラム



 IPTPC からの情報発信

IPTPCは、2003年よりVoIP認定技術者資格制度の運営を行っており、累計資格者数は2011年7月の時点で18,000名を超えています。

これまで統一的な水準の技術者を養成するための研修や資格制度、また、ビジネスコミュニケーション東京等の展示会やIPTPC主催のIPTPCセミナ等を通じて、IP電話普及推進のための活動を行ってまいりました。今後は、IPTPCのホームページより、ホワイトペーパーやWebコラムなどを定期的に掲載することにより、今まで以上に情報発信を行ってまいります。


スマートフォンの導入と利活用に不可欠な技術を学ぼう!

2012年1月31日
IP電話普及推進センタ(IPTPC)
エバンジェリスト(NEC) 竹井 俊文

私は、スマートフォンを導入するとライフスタイルが変わることを実感している。朝夕の通勤時間にスマートフォンのPCブラウザやソーシャルメディアを利活用すれば、帰宅後、TVニュース番組を長々と見たり、PCを立ち上げて情報収集や友達とコミュニケーションする必要がなくなり、家族と団欒したり、読書をしたり、実に効率的かつ快適なライフスタイルに変わった。これは、ワークスタイル革新の可能性を示唆しているが、企業にスマートフォンを導入し利活用する場合には、従業員がストレスなく仕事ができる環境が必要となる。ストレスには、通信速度の遅さ、内線と外線など複数の番号を意識しなければならない不便さ、音声・映像品質の悪さ、セキュリティの脅威などがある。これらを解消するためには、無線LAN(Wi-Fi)、VoIPシステム、セキュリティなどの技術が不可欠である。

そこで、4月に開始した無線LANデザイナ研修から一部引用して、5回(※1)にわたって解説する。


  第1回 モバイルセントレックスは携帯電話からスマートフォンへ
  第2回 Wi-Fiとテザリングのオフロードでスマートフォンを快適に使う
  第3回 スマートフォンによるワークスタイル革新の効果と導入システム
  第4回 スマートフォンのビジネス利活用に不可欠な無線LANとVoIP
  第5回 BYOD導入のメリット、導入に不可欠なポリシー策定とMDM


(※1)本コラムの第1回と第2回では計4回の連載を予定していたが、その後、内線化やBYOD(Bring Your Own Device)などスマートフォンによるワークスタイル革新の話題で市場が急速に盛り上がってきたため、当該内容を第3回として追加し計5回の連載とした。[2012年8月28日 編集]

第2回 Wi-Fiとテザリングのオフロードでスマートフォンを快適に使う

前回、スマートフォンは理想的なUCモバイル端末であると説明したが、このスマートフォンをストレスなく利活用するためには、ネットワークの帯域が潤沢でなければならない。今回は、スマートフォンの急速な普及によって逼迫するトラフィック、およびその解決に無線LAN(Wi-Fi)が大きく貢献している現状について解説する。

(1)スマートフォンの3G、LTE、WiMAXとは?

表1は、スマートフォンのデータ通信に利用されている公衆携帯電話網の通信サービスの一覧である。(VoIPモバイル研修テキストから引用、表の詳細は研修で説明)

表1 スマートフォンのデータ通信に利用されている公衆携帯電話網
携帯電話網規格 周波数帯 方式 サービス名称 最大伝送速度 備考
第3.5世代
(3.5G)
800/900MHz
1.5/1.7/2GHz
CDMA 3G HSPA 下り 14Mbps
上り 5.7Mbps
5MHz、16QAM
5MHz、BPSK
HSPA+ 下り 42Mbps
上り 11Mbps
5MHz、64QAM、2x2MIMO
5MHz、16QAM
EV-DO 下り 3.1Mbps
(下り 9.2Mbps)
上り 1.8Mbps
(上り 5.5Mbps)
1.25MHz、64QAM
(マルチキャリア)
1.25MHz、8PSK
(マルチキャリア)
第3.9世代
(3.9G)
800/900MHz
1.5/1.7/2GHz
OFDMA
SC-FDMA
LTE 下り 37.5Mbps
(下り 目標 300Mbps)
上り 12.5Mbps
(上り 目標 75Mbps)
5MHz、64QAM、2x2MIMO
20MHz、64QAM、4x4MIMO
5MHz、64QAM
20MHz、64QAM
モバイルWiMAX
(IEEE802.16e)
2.5GHz OFDMA WiMAX 下り 40Mbps
上り 10Mbps
10MHz、64QAM、2x2MIMO
10MHz、64QAM、2x2MIMO

3G、LTE、WiMAXといったサービス名称で呼ばれるのが一般的であるが、携帯電話網の規格としては、既に全国エリアで音声通信も可能な3GはCDMA方式による第3.5世代、始まったばかりのLTEは下りOFDMA上りSC-FDMA方式による第3.9世代、都市エリア中心のWiMAXはOFDMA方式によるモバイルWiMAXに相当する。

わかりやすく言えば、限られた周波数を効率よく利用する革新的なQAM変調技術と、OFDM多重化技術、MIMOアンテナ技術によって、3Gのデータ通信の最大伝送速度を一挙に一桁上げようとするのが、LTEとWiMAXである。LTEやWiMAXが搭載された機種はまだ少ないが、3Gは全ての機種で利用できる。このように、機種によって対応する規格が違い、最大伝送速度が異なるので注意が必要である。なお、同じ3GでもHSPA、HSPA+、EV-DOといった違いがある。

(2)スマートフォンのWi-Fiとは?

表2は、スマートフォンで利用できる無線LAN(Wi-Fi)の一覧である。(VoIPモバイル研修テキストから引用、表の詳細は研修で説明)無線LAN(Wi-Fi)とは、Wi-Fi認定を受けているIEEE802.11規格の機器による無線LANのことを指す。(以下、単にWi-Fiと記述する)

表2 スマートフォンで利用できる無線LAN(Wi-Fi)
無線LAN規格 周波数帯 方式 サービス名称 最大伝送速度 備考
IEEE802.11b 2.4GHz IEEE802.11
(MAC層)
Wi-Fi

(公衆無線LAN、
オフィス無線LAN、
ホーム無線LAN)
11Mbps DSSS
IEEE802.11g 2.4GHz 54Mbps 11b 後方互換性、OFDM
IEEE802.11a 5GHz 54Mbps OFDM
IEEE802.11n 2.4GHz
5GHz
300Mbps〜600Mbps
※現在300が主体、450も
登場、規格上は600
11b/g、11a 後方互換性
OFDM、MIMO

5GHz帯の11aや11nが搭載された機種はまだ少ないが、2.4GHz帯の11nは増えている。11bと11gは全ての機種で利用できる。一方、スマートフォンと接続する公衆無線LANサービスやオフィス無線LANのアクセスポイントは11bと11gが多い。ホーム無線LANでは、音楽や動画などの大容量ファイル、アプリなどのダウンロードをサクサクとやるために、11n搭載のスマートフォンとアクセスポイントを導入するケースも増えている。

Wi-Fiの場合、概ね高速が期待できるが、無線LAN接続しているスマートフォンとアクセスポイントの機種によって、最大伝送速度が異なるので注意が必要である。3G、LTE、WiMAX、Wi-Fiともに、最大伝送速度とは技術規格上の最大値であり、実際の通信速度はサービスエリアとの位置関係や電波干渉、端末数などの通信環境やネットワークの混雑状況に応じて変化するベストエフォート値であることを念頭におく必要がある。

特に、Wi-Fi利用に際して十分な実効速度を得られるようにするためには、端末数も含めたアクセスポイントの置局設計およびスマートフォンとアクセスポイントの機器設定が重要である。IPTPCが提供するVoIPモバイル研修(3版)には、その必要な技術とノウハウを分かり易く解説しているので、是非活用していただきたい。

(3)3GトラフィックとWi-Fiによるオフロード

総務省の調査によると、我が国の公衆携帯電話網におけるデータ通信トラフィックの現状は、2011年6月の月間平均123.5Gbps(*1)、月間延べ40,023TB(テラバイト)であり、スマートフォン利用者数の増加や、動画等大容量コンテンツの利用増加などによって、年間約2倍のスピードで増加を続けている。このトラフィックの急増が、公衆携帯電話アクセス網の3G基地局に割り当てられた周波数リソース(資源)を逼迫しているらしい。


図1 トラフィック オフロードのイメージ

前述したとおり、LTEは限られた周波数を効率よく利用する方法であるが、周波数の確保とエリア展開に要する期間も相俟って、3GシステムをLTEシステムに巻き取っていくのには、時間がかかると想定されている。そのため、しばらくは膨れ上がるトラフィックを3GからWi-FiやWiMAXへオフロード(図1はイメージ)させることが、スマートフォンを快適に利活用するための有効な手段となる。

一方、現在、スマートフォンを含む携帯電話の端末総数は約1億台であり、その内、スマートフォン利用は10%を超えている。以下、試算ではあるが、仮に端末の使用率を10%、使用時の実効速度を1Mbpsとすると、スマートフォンによって発生するデータ通信トラフィックは、1億X 0.1 X 0.1 X 0.001G=1,000Gbps(*2)となる。(*1)と(*2)から、スマートフォンによって大量のトラフィックが発生する可能性があり、その多くは既に公衆携帯電話網以外のWi-Fiに流れていると考えられる。

これは、宅内のWi-Fiを利用しているスマートフォン利用者が少なくない現状、ならびに通信事業者がWi-Fiの基地局を急速に増設し、無線LANサービス(カフェ、駅などのWi-Fiスポット)を開始し、電波状況によってスマートフォンのデータ通信を3GからWi-Fiへ自動切り替えして利便性を高めている現状をよく理解できる。なお、公衆無線LANの契約者数は、2013年には930万契約にも達するとみられている。

(4)WiMAX、LTEとテザリングによるオフロード

テザリングとは、モバイルワイヤレスルータや同機能を内蔵したスマートフォンのモバイル接続機器を外部モデムとして、ノートPCやタブレットPC、スマートフォンなどを3G、LTE、WiMAXを経由してインターネットに接続させることである。モバイル端末とモバイル接続機器間の接続は、Wi-FiやBluetoothなどがある。図2のように、Wi-Fiテザリングによって、3GトラフィックをWiMAXとLTEへオフロードする方法も有効である。


図2 無線LANとWi-Fiテザリングによるスマートフォン関連3Gトラフィックのオフロード

以上、スマートフォンの普及とそれに伴う大容量コンテンツや多種多様なアプリの登場によって、3Gトラフィックは急増しており、その解決策としてWi-Fiへのオフロードが大きく貢献しており、Wi-FiテザリングによるWiMAXとLTEへのオフロードも選択肢の一つであることを述べた。

今後、公衆無線LANやホームLANに加えて、スマートフォンやタブレットPCを導入する企業とともに、個人所有のスマートフォンを業務に利用するBYOD(Bring Your Own Device)を導入する企業が増えてくることが予想されるため、オフィス無線LANによるオフロードも大いに伸びると期待されている。

そういう意味で、無線LAN(Wi-Fi)技術の需要はますます高まっており、IPTPCが提供するVoIPモバイル研修(3版)を同技術修得のために是非活用していただきたい。次回は、Wi-Fi vs. WiMAX vs. LTE、VoIPと相性が良いFMCは?について説明する。

本コラムには、筆者の個人的な意見が含まれています。


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