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Webコラム



 IPTPC からの情報発信

IPTPCは、2003年よりVoIP認定技術者資格制度の運営を行っており、累計資格者数は2011年7月の時点で18,000名を超えています。

これまで統一的な水準の技術者を養成するための研修や資格制度、また、ビジネスコミュニケーション東京等の展示会やIPTPC主催のIPTPCセミナ等を通じて、IP電話普及推進のための活動を行ってまいりました。今後は、IPTPCのホームページより、ホワイトペーパーやWebコラムなどを定期的に掲載することにより、今まで以上に情報発信を行ってまいります。


スマートフォンの導入と利活用に不可欠な技術を学ぼう!

2011年12月20日
IP電話普及推進センタ(IPTPC)
エバンジェリスト(NEC) 竹井 俊文

私は、スマートフォンを導入するとライフスタイルが変わることを実感している。朝夕の通勤時間にスマートフォンのPCブラウザやソーシャルメディアを利活用すれば、帰宅後、TVニュース番組を長々と見たり、PCを立ち上げて情報収集や友達とコミュニケーションする必要がなくなり、家族と団欒したり、読書をしたり、実に効率的かつ快適なライフスタイルに変わった。これは、ワークスタイル革新の可能性を示唆しているが、企業にスマートフォンを導入し利活用する場合には、従業員がストレスなく仕事ができる環境が必要となる。ストレスには、通信速度の遅さ、内線と外線など複数の番号を意識しなければならない不便さ、音声・映像品質の悪さ、セキュリティの脅威などがある。これらを解消するためには、無線LAN(Wi-Fi)、VoIPシステム、セキュリティなどの技術が不可欠である。

そこで、4月に開始した無線LANデザイナ研修から一部引用して、5回(※1)にわたって解説する。


  第1回 モバイルセントレックスは携帯電話からスマートフォンへ
  第2回 Wi-Fiとテザリングのオフロードでスマートフォンを快適に使う
  第3回 スマートフォンによるワークスタイル革新の効果と導入システム
  第4回 スマートフォンのビジネス利活用に不可欠な無線LANとVoIP
  第5回 BYOD導入のメリット、導入に不可欠なポリシー策定とMDM


(※1)本コラムの第1回と第2回では計4回の連載を予定していたが、その後、内線化やBYOD(Bring Your Own Device)などスマートフォンによるワークスタイル革新の話題で市場が急速に盛り上がってきたため、当該内容を第3回として追加し計5回の連載とした。[2012年8月28日 編集]

第1回 モバイルセントレックスは携帯電話からスマートフォンへ

(1)携帯電話とスマートフォンの比較

スマートフォンとは「仕様が公開された汎用的なOSを搭載し、利用者が自由にアプリケーションを追加して機能拡張やカスタマイズができる携帯電話およびPHS」(出展:MCPCモバイルコンピューティング推進コンソーシアム)である。分かり易いイメージで言えば、多くのネットワークとローカルインターフェイスに繋がる、文字・音声・映像によるコミュニケーションとソーシャルメディアが使える、購入後にアプリを追加して価値を高めることができる、高度なユーザーインターフェイスを持つモバイル端末である。下表は、従来の一般的な携帯電話とスマートフォンの比較表である(機種により一部差異あり)。

携帯電話 スマートフォン
モバイル網 3G 3G, LTE, WiWAX
ローカル
インターフェイス
Bluetooth, IrDA, RFID 無線LAN(Wi-Fi), Bluetooth, IrDA, RFID (一部、Wi-Fiテザリング, Bluetoothテザリング可)
操作 キー操作 大画面、高画質、マルチタッチによる直感的操作、音声認識
コミュニケーション 電話、テレビ電話(回線)、SMS、携帯メール 電話、SMS、携帯メール、PCメール、Webメール、IP電話、ビデオ通話(IP)、Web会議、タイムライン、SNS
プラウザ 携帯サイトのレガシーブラウザが主体 PCサイトのフルブラウザ(タップ, フリック, スワイプ, ピンチ)
アプリ アプリの追加が限定され機種制限あり、プリインストールのアプリの価値ある製品導入(グッズドミナントロジック) アプリ・ストアにビジネスアプリ等の豊富なアプリ品揃え、自由にインストール追加・カスタマイズして新価値創造(サービスドミナントロジック)
モバイルクラウド グループウェア等、コンテンツが限定され機種制限あり グループウェア、セキュリティ等、豊富なサービス・コンテンツ

(2)スマートフォンは理想的なUCモバイル端末

従来、企業のモバイルセントレックスに利用されている端末は、複数の通信事業者から販売されている特別仕様の携帯電話であり、一般的な携帯電話にはない無線LAN(Wi-Fi)機能と内線IP電話機能が実装されている。社外では通常の携帯電話機として公衆携帯電話網へアクセスし、社内では無線LANクライアントの内線IP電話機としてオフィス無線LANのアクセスポイント経由で内線IP電話網にアクセスすることができるが、その機能は電話やメールなどに限られている。

しかし、一般的なスマートフォンには既に、企業利用できる高速無線LANを含むIEEE802.11b/g/a/n(或いはその一部)やセキュリティ規格のIEEE802.11iなどの無線LAN(Wi-Fi)機能がデフォルトで実装されている。内線IP電話機能も、ユーザがアプリ・ストアから自由にダウンロードしてインストールすることが可能になってきている。その他、スマートフォンには上表の携帯電話にはない新たなユニファイドコミュニケーション(UC)という価値があり、理想的なUCモバイル端末であることから、今後、企業利用においても携帯電話からスマートフォンへと大きく代わっていくと思われる。

(3)スマートフォンによるモバイルセントレックス

クラウドサービスとしても注目されているモバイルセントレックスであるが、スマートフォンを利活用するためには、企業のセンタ拠点やデータセンタのみに音声接続のためのIP-PBX(SIPサーバ)を設置し、拠点の無線LAN(Wi-Fi)をIP-VPNなどのWANで接続する無線IP電話システムの構築がベースとなる。それにはVoIPシステム設計のみならず、無線LAN(Wi-Fi)設計やセキュリティ対策といった技術が不可欠となる。

今後、モバイルセントレックスは、スマートフォンの各機種に対応したアプリが続々登場し、FMC(固定と移動体通信の融合)の内線IP電話機能、セキュリティ対策が施されたメールやプレゼンス&インスタントメッセージ、Web会議、SNSなどのUCサービスの利活用が期待される。次回は、3Gのトラフィック問題を解決するWi-Fiとテザリングについて説明する。

本コラムには、筆者の個人的な意見が含まれています。


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